新築物件で宿泊所営業をお考えの方

このページは、新たに建物を建築して旅館業(ホテル、旅館、簡易宿所)の許可を取得を目指す方に向けたページです。建物を新たに用意して行う宿泊所営業はホテル、旅館、簡易宿所(民泊)の許可が必要です。既存物件を利用しての宿泊所営業に比べ、事前の計画段階でミスをしない限り旅館業許可を取得しやすいといえます。しかし、旅館業法の要件は厳しく多くの要件を見落とさないよう注意を要する点では既存物件を利用する場合と異なるところはありません。
以下、新築物件利用での宿泊所営業を始めるにあたって注意すべき点と、当事務所のサポートについて記述します。

宿泊施設を新設する土地選定時の注意点

用途地域

旅館業許可を受ける場合、宿泊所を建築しようとする土地所在地の用途地域を確認してください。用途地域を表す文言の中に「住居専用」とある場所や工業地域では旅館業許可は受けられません。土地に関する契約を行う前に必ず役所でその土地所在地の用途地域を確認してください。役所の担当課で口頭で教えてもらってもいいですが、聞き間違いや勘違いを防ぐ意味で、用途地域証明書を取得しておけば確実です。
自己所有地を利用しようとお考えの場合、その物件が旅館業を制限している用途地域にある場合は、旅館業許可を受けることをあきらめざるを得ませんが、新設される法律「住宅宿泊事業法」による営業は可能になるかもしれません。(住宅宿泊事業法はH29年3月時未施行)

営業できる用途地域についての詳細は、 都市計画法、用途地域について をご覧ください。

ホテル、旅館、簡易宿所、どの営業か?

旅館業許可法上の許可申請においては主に3つの営業が考えられます。部屋数、食堂があるか否か、洋風か和風か?などそれぞれに要件があるため、その要件に適合するような建物を計画する必要があります。

また、いわゆる民泊と呼ばれるものは、一戸建ての住宅や共同住宅のような建物を利用することが多いですが、新たに建築する場合は、その用途を「ホテル又は旅館」で建築確認申請をする必要があります。
「一戸建ての住宅」または「共同住宅」の用途で建築確認申請を行い、検査を受けた後、用途変更の建築確認申請を行って、旅館業許可を受ける物件でも、事前に建築士と用途変更がスムーズにできるように計画を立てておく必要があります。(あらかじめ「ホテルまたは旅館」の要件を満たすものを建築しておく)
宿泊施設の面積が100㎡を超えない建物は、用途変更は不要ですが、用途変更の建築確認申請が不要というだけで、その建物の設備等は「ホテル又は旅館」の基準を満たしておく必要があり、消防法令適合通知を受ける際に問題となることもあります。
事前に建築士と綿密に計画を立てて着手ることが重要です。

「住宅宿泊事業法」による宿泊所営業においての建物の用途等については現時点(H29年3月時未施行)で詳細は不明です。詳細が分かり次第、当サイトでお知らせいたします。


消防法令について

旅館業許可申請では、添付書類の一つとして、「消防法令適合通知書」を添付する必要があります。これは読んで字のごとく、宿泊所の消防設備が法令に適合しているかどうかを、管轄の消防本部で検査を受け適合している場合に出される書類です。
消防法令の基準は、建物の用途と規模によって異なりますが、「一戸建て住宅」と「ホテル又は旅館」では基準が異なっているため、設備を備え付ける工事などが必要になります。

消防法令の基準の詳細は 消防法について をご覧ください。


アパート・マンション型の宿泊施設の場合の注意点

アパート、マンションなどの共同住宅のような建物の一部を宿泊施設、その他は賃貸とするような場合は、同一フロアに賃貸の部屋と宿泊施設とを併存させることはできません。
賃貸と旅館業を同一の建物で行おうとする場合はご注意ください。

詳細は 旅館業Q&A をご覧ください。

浄化槽か下水道か

建物を立てる地域に下水道が整備されているかどうかもポイントになります。下水道が整備されている場所で、下水道に排水できる場合は問題ないのですが、浄化槽の場合は注意が必要です。
浄化槽には、「○人槽」などと対応できる人数が決まっており、例えば5人槽であれば、どんなに広い物件であっても宿泊者数は5人までしか設定できません。一戸建ての住宅規模の場合、1世帯用の比較的小さな浄化槽を設置してしまうと、「各部屋2名宿泊」などが困難になることも考えられます。宿泊者数に応じた浄化槽を設置するようにしてください。

旅館業許可フルサポート

上述のような要件をすべて検討し、適合する建物を計画しなければ旅館業法上の営業許可を得ることができません。満たすべき要件は非常に多く、これらのうちの一つを見落としてしまったような場合、事後的に修正可能なものもありますが、修正が出来ず許可が得られないという事態が生じてしまうことがあります。また、建築士は建築の専門家ですので、都市計画法、建築基準法、消防法についてミスをすることはあり得ませんが、旅館業法上の要件をしっかり把握しているとは限りません。当事務所は、新たに建物を用意して旅館業許可を受けようというお客様に対し、物件の選定から許可申請までのコンサルティングを承ります。
当事務所の通常の旅館業許可申請サポートとの違いは、建築士、消防設備設置業者等との打ち合わせや、消防本部への各種申請、打ち合わせ(消防法令適合通知書の取得手続等)から、保健所への旅館業許可申請手続きのすべて含むフルサポートです。

新築建物での旅館業許可取得は比較的容易ですが、うっかりすると後々改修費用が必要になったり、営業開始が遅れることになりかねません。そのような事態を避けるため当事務所のサポートをご利用ください。